就活Q&A

「日本の大企業丸洗い」著者リョーマ・ゴーストに聞く

(リョーマ・ゴースト:プロフィール)

東京大学法学部卒 米国コーネル大学ビジネススクールMBA 政府系シンクタンク・東証一部上場企業等で10年余り役員を務めた後、作家として独立。「日本の大企業丸洗い」は志を同じくする野田前首相、楠木建一橋大教授の支援の下、リョーマ・ゴーストのペンネームで出版された。

―――なぜ「日本の大企業丸洗い」を出版されたのですか

「従来の就活ルールが事実上前倒しされる中で、企業は競争力強化につながる人材確保に一段と力を入れている。私は自分の娘たちの就活にノータッチだったが、会社役員を退任した今振り返ってみて、彼女たちに欠けていたものがあることに気づいた。就活のターゲットである企業、株式会社に関する決定的な情報不足だ。娘たちには間に合わなかったが、これから就活が本格化する学生の皆さんの情報武装に私の体験を役立てたい、との思いから出版した」

―――学生は色々な業種の企業に就職しますが情報武装は可能ですか

「150年前の明治維新実現に奔走した坂本龍馬がリョーマ・ゴーストとして現代に蘇り、あるIT企業に潜入して今の日本企業が抱える課題を明らかにするストーリーにした。学生の皆さんは自分がリョーマだと思って読み進めば自然に日本企業の経営が理解できると思う」「殆どの企業は株式会社だが株式会社の骨格は会社法で決められている。決算、事業計画、監査、取締役会など会社運営の基本的な枠組みは業種に関係なく共通しており、一つの会社の事例を勉強すれば、他の業種の企業にも適用可能だ」

―――「サラリーマン共同体経営」とはどのような経営ですか

「日本企業は終身雇用制度を中核とする日本的経営で高い生産性を実現し、高度成長期には『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と世界から注目された。しかしこの成功体験があるため経済の国際化の波に乗り遅れ、バブル崩壊後の低成長期への移行とともに多くの大企業はグローバル競争に負け続け日本経済の国際的プレゼンスは低下した」「日本の国際的なプレゼンスを低下させた主因が『サラリーマン共同体経営』であり、本書で詳しく解説しているが、一言でいえば長い年月をかけて形成された日本の組織風土に根差した経営スタイルだ。高度成長期には弊害が目立たなかったが、低成長下でグローバル競争に晒されると、企業競争力低下、不祥事の続発などの問題が表面化した」

―――経営者を2つに分類されていますが『茶坊主経営者』とはどのような経営者ですか

「企業の成功・不成功は経営トップで決まるが、『サラリーマン共同体経営』のトップを『茶坊主経営者』と呼ぶ。変な名前だと思われるかもしれないが、この名前には歴史的な由来がある。茶坊主は江戸幕府の時代に江戸城内で給仕を仕事とする剃髪した下級武士の職業名だ。」「茶坊主社会で築かれた「忖度」を行動指針とする組織文化が脈々と受け継がれて現代のサラリーマン社会の源流となっている。日本の大企業では職場に自動給茶機が登場するまで、上司の好みの熱さ、渋さのお茶を入れる給仕が何よりも大事な新米社員の仕事だった。その上司思いの精神を最後まで保ち続けてトップに昇りつめた社長が『茶坊主経営者』だ」

―――表紙の見出しにもある『サムライ経営者』とはどのような経営者ですか

「上司のことを第一に考えて育った『茶坊主経営者』に対し、企業の成長を第一に考えて自ら戦略を立案し、先頭に立って組織を牽引するのが『サムライ経営者』だ。武将に例えれば『サムライ経営者』は戦国時代に自分の命を懸け部下を率いて勝つまで戦った戦国大名だ。これに対し『茶坊主経営者』は戦のない平和な江戸時代に幕府に忠節を尽くし「お家断絶」回避を最優先に行動した地方大名だ」「現代のグローバル市場で日本の『茶坊主経営者』が青い目の『サムライ経営者』に負け続けるのは自然な現象と言えるだろう。ただ日本にも鋭い洞察力で日本企業にふさわしいユニークな競争戦略を打ち出す経営者が登場しつつある。『サムライ経営者』に共通しているのは、10分間で人を魅了する戦略が語れることだ」

―――学生が社会人になるにあたり特に注意することはありますか

「日本のメーカーや金融機関などの大企業、中央省庁や競技団体などで不祥事が相次いで発生し、日本病とも言える様相を呈している。悪いことと知りつつ上司の気持ちを忖度し、その指示に従って不正経理や不正融資、品質の不正管理に手を染めた社員は懲戒処分を受け、文書偽造に関与した公務員は自殺した」「企業風土には逆らえない怖さがあるが、本書を読むと大企業の不祥事は例外なく内部告発で発覚していることが分かる。大企業に就職して不祥事に巻き込まれそうになったら自分の身を自分で守らねばならない。その最後の手段は法律でも認められている内部告発であることをしっかり頭に入れておこう」

―――就活は学生にとってどんな意味があるとお考えですか

「現代は情報の時代と言われるが、学生にとって大事なのも情報武装だ。企業担当者からの情報、OB・先輩からの情報、ネットで検索した情報などどれも重要に違いないが、最後に決断するために役立つ情報軸を自分で築き上げていく意識が大事だろう。『日本の大企業丸洗い』も軸を構成する情報の一つだが、企業の担当者や先輩から聞くことのできない企業経営の基本情報だと思って勉強してほしい」「就活は就職という目標に向って自分を成長させるステップだと思う。これが正解という就活はないが自分を信じて最後まで戦いぬいてほしい。真剣に戦った学生の中から将来の『サムライ経営者』が生まれてくるだろう」

 

投稿日:2019年3月28日 更新日:

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